PMSの治療
先日、同じ日に2人の患者さんにとても似たようなことを相談されました。
PMSのご相談で来院した患者さんなのですが二人とも更年期障害ではないのかと心配されているのです。確かに更年期症状とPMSは似ている症状が多いです。イライラする、落ち込みが強い、やる気が出ない、倦怠感などなど。年齢が30代後半になってくると早く来てしまった更年期障害なのかもしれないと心配されるのも当然かもしれません。
PMSの原因は排卵後のホルモンの大きな変化によって起こるもので月経が来れば症状は改善してしまいます。更年期障害は閉経前後の急激な女性ホルモンのエストロゲンの低下によっておこるものです。そのためPMSは女性ホルモンがしっかり出ているからこその症状。更年期障害の方はホルモンが減少しているから起こる症状で、似ていても全く原因が違うのです。
ここでPMSの治療ですが排卵後のホルモンのダイナミック変化が原因なら排卵を起こさないようにしてしまおうという考え方で用いるのが低用量ピルです。一相性というピルならホルモンバランスはいつも同じということになるのでPMS症状の改善になります。ただ妊娠を希望している方や血栓症のリスクが高い高血圧、肥満、血栓既往のある方は内服できません。
一番つらい症状に合わせて漢方も処方しています。イライラや落ち込などの精神症状が強い方には加味逍遥散、イライラが強く便秘を伴う方には桃核承気湯、倦怠感が強く頭痛や冷えを伴う場合は当帰芍薬散など、漢方はたくさんの種類があるのでご自身に合うものを一緒に相談しながら決めています。
落ち込みなどのうつ症状が強い場合はうつ病の治療にも使うSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)というものを使う場合もありますが、やはりPMSのような一時的な症状にうつ病のお薬を使うことに抵抗がある患者様も多くいらっしゃいます。
当院ではセロトニンを増やすためにセロトニンのもとになるビタミンやアミノ酸をカクテルした点滴も人気です。PMS症状が出る少し前に点滴に来ることをお勧めしますが、来院がタイミングよくできない方には内服バージョンのPMSサプリメントのご用意もあります。
治療もいくつかあり、ご自身にあったものが決まるまでに数か月かかることもありますが、みつかれば月の1/3から半分を憂鬱にさせているPMSを改善できるかもしれません。ぜひ一度ご相談してみてください。
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