PMS
PMSという言葉を私は医師になる前まで知らなかったような気がします。しかも医師になってからも数年は総合病院に勤務していたせいか患者さんからPMSの相談を受けたことがなかったです。
ところがここ数年は月経痛とPMSの患者さんは同じくらいではないかと思うほど、多くの方がPMSに悩まされています。
PMSとはpremenstrual syndromeの略で日本語にすると月経前症候群となります。排卵以降の月経前からイライラや落ち込みなどの精神症状、下腹痛や便秘、むくみなどの多様な症状を示し月経開始数日で症状は改善します。症状は多様で重症度も様々です。ちょっとイライラしてご主人や彼、家族とけんかが多くなるくらいの人から落ち込みが強くすぐに涙が出てしまい仕事を早退しなくてはならない人、倦怠感が強く全く起きられずに寝たきりになってしまう人もいます。
PMSの患者さんの中にはホルモンバランスが悪いのではと心配されている方もいらっしゃいますが、PMSはホルモンバランスが良くしっかり排卵しているからこそ起こる症状のため厄介なのです。
PMSの原因はすべてがわかっているわけではありませんが、イライラや落ち込みの原因は脳の中の伝達物質のセロトニンが低下していることは分かっており、この状態はうつ病の患者さんと同じだと言われています。むくみや便秘はもしかしたらしているかもしれない妊娠のために、栄養を蓄え水分をため込むのでむくみ、栄養をなるべく多く吸収しようと腸の動きが悪くなるため起こると言われています。
今自分に起きていることがどのような理由で起きているかということを理解するだけでPMSは少し楽になるようです。スマホや手帳に月経の周期と合わせ、気になる症状を書き込んでみてはどうでしょうか?おそらく症状が改善する日がなんとなくわかってくると思います。
もし避けることができるなら、PMSのひどい時期は休息日にするのもお勧めです。だらだらしたり、いつもよりお菓子を多めに食べて自分を甘やかしてあげてもいいと思います。
長くなったので、クリニックで行っているPMS治療法は次回にします。
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